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HACCP工場の改修の考え方

  食品工場を改修する場合は、最低限度の改修として床と壁との隅、天井と壁との隅を30アール以上の曲面にしなければなりません。どんなに大きな曲率でも良いのですが、部屋が狭くなります。→専用の隅材が販売されています。
 基本的に壁も床も天井もオールステンにしなければいけない、しかも、隅は30アール以上の曲面にしなければならない、壁面床面天井面はできるだけフラットにしなければならない。(天井、壁は抗菌パネルでもよい)→要するにいつでもジャブジャブ水洗いが出来るようにしなさいということです。せめて、いつでも水拭きできるようにしなさいということです。

 特に近年床材は水性塗料ではダメだといわれていますが、これは剥がれる危険性があるからです。
 ですから、逆に言えば剥がれる前に、どんどん上塗りします・・・というようなルールを設けて、定期的に上塗りする→、目視チェックする→記録する→チェックを確認する→の繰り返しをすればHACCPに準じます。→この繰り返しがめんどうだと現場がいうなら、剥離しないしっかりとした床材例えばステン3ミリ板を張りなさいということです。また、ドライ床とウエット床では、滑り具合がありますので、ステンでも磨きのかかっていない、通称しろかわといわれるステンを使えばよいです。


 照明は蛍光灯のようにわれるものはダメ、→割れないための蛍光灯カバーバンガード紫外線カット効果で虫を寄せ付けない利点もある。
 できれば壁からのスポット照明で、物や侵入を許した昆虫が当たっても食品が汚染しないようにしなければならない。
 作業場内には一切の棚をつけてはならない。→棚の奥にホコリが溜まりそれが舞って異物混入の原因となる。その日の作業に不必要なものは一切置かない、必要なものは作業開始前に持ち込むようにすること。その日に必要な資材半製品原材料等々の作業所内での賞味期限がその日限りの6時間しかついていないというように考えると現場での理解が深まります。
 ステンレスのテーブルも隅(スミ)のテーブル裏側の折り返し部の最後の曲げの部分の”コ”の字の部分にホコリが溜まるような水平部があればダメです。
 かならず、折り返しで終わりにして、逆L型の垂直曲げにすることが必要です。
 また、以外と落とし穴はオーバーフロー付きのステンレスシンクです。オーバーフローの中が恐ろしいほど汚れて虫の巣窟になっていることが多いのです。小ハエが発生したらまず此処を疑ってハイターで清掃しましょう。→当社ではオーバーフローを外してパイプを取り去りフロー口はめくら蓋をつけてふさいでいます。

 床面に付ける排水溝はできるだけ大きくゆるやかなアールで作り、その傾斜面に立って作業出来るようなくらいのゆるやかな傾斜(もし、床を新たに作る場合は、沖縄の名人の左官をよんで、50分の1できれば75分の1排水傾斜もしくは理想は100分の1排水傾斜にすると、長時間の立ち仕事でも体調を崩さなくてよいです。75分の1傾斜がのぞましい理想は100分の1→フラットで100分の1だとスウィーパーなしでも乾く、オリンピックの記録公認走路の傾斜が100分の1です)のものとしてフタ無しとし、最後の排水口は普段はフタをして締め切り、作業終了後の清掃時に開けて、水を流すようにしなければならない。もし既存の排水溝がある場合は、穴の空いていないめくら蓋をして、清掃時にフタを取って、フタの裏表もあらい、床も洗うようにしなければならない。もちろんめくら蓋はステンレスでないといけない。ステンレス蓋に穴が空いていてはいけない。→わかりやすいたとえで言うと自動お掃除ロボットルンバが自由に走り回って清掃できるくらいのフラットな床面であれ!ということです。(夜間ルンバが走り回って掃除させることができれば人件費の節約になる?笑)

 もし、エアーカーテンやエアーシャワーを付ける時は、エアーカーテンは13b毎秒の風速が維持される装置でなければなりません。同様にエアーシャワーは25b毎秒以上の風速と両面に20カ所以上の噴出口天板にはエアーカーテンがついているのが最低限の条件です。→風速計を買って定期的に計測する必要があります。
  また、エアーカーテンの下面のビット堀が困難の場合、外部側に噴出するような設計としてエアー風量を増やし、出入り口自体の左右上下からやや外に向けて13b毎秒以上の風速ででる噴出口もしくは送風ファンを多数付け巨大羽無し換気扇というようなイメージで構築する必要があります。この場合でもフォークリフトが通る場合は、左右両面に20カ所以上の噴出口をつけて、25b毎秒の風速でエアーをやや外部に向けて吹き出す装置が必要です。

 エアーシャワーは万能ではない
  近年エアーシャワーを過信している風潮がありますが、エアーシャワーとは、出入り口に天井よりのエアーカーテンをつけ、エアーシャワー室内の両面ないしは片面に20カ所以上の噴出口を取り付け毎秒25b以上の風速で粉塵を吹き飛ばす設備でありますが、微粉末の塵埃は0.5b毎秒以下のの風速でないと室外に除去できません。
 エアーシャワー室では、目で見えるおおきな塵埃や髪の毛は吹き飛ぶ可能性がありますが、微粉末は舞うだけでエアーが停止すると再び衣服に付着します。髪の毛もその可能性があります。かならず、エアーシャワーを通ったあとにコロコロ等の風圧や真空圧にたよらない吸着システムで除去する必要があります。

 同様にエアージェット式のエアータオルも、規定時間を守らないと、十分な水分を取ることができない、あるいは、吹き飛んだ水しぶきによって、床やエアータオル機器の壁に付着し再び雑菌の発生を余儀なくさせるなど問題の多いシステムです。紙タオルが一番簡単で一番たしかであるとも言えます。ただし、ランニングコストがかかります。

 たとえ水道水といえども、浄水場は完璧でも、その途中配水配管の管内の実態は古くなって信用出来ないところがありますから、必ず水質検査をする装置を、取り付ける必要があります。工場を新規に作る時は自動水質検査装置を取り付けるとその検査記録に便利です。

 平成24年5月29日(火) 奈良県御所市にある、OOOO製薬工場を特別に製造現場の中に完全武装で入れてもらって見学してまいりました。実に、示唆に富んだ体験でありました。
 一番驚いたことは、あまりに機械や配管まわりの上がほこり一つないことです。それで、現場をどれくらいの頻度でお掃除するのですか?とたずねたとき、お掃除する必要がないくらいホコリも溜まらないと言われたことです。
 つまり、完全な空気清浄装置を設置すれば、おそうじの必要がないくらいホコリがたまらず、常に現場は清潔であるということです。1時間に16回工場内のすべての空気が、一切のホコリや菌のない清浄な空気に入れ替わるそうです。食品工場もここまで徹底すれば逆にお掃除の必要がないくらいになり、結果的に生産能力があがるということです。これから新しい食品工場を作られる方の参考になると思います。
 
 また現場において、水平の部分がないのです。水平に部分は、その周りを天井まで垂直に壁を立ち上げて保護し、仮にホコリがでても、堆積しないたまらないような構造になっていました。


工場内保守点検表の必用性
  毎日作業終了後工場内の施設、設備に異常がないか点検確認を行う必要があります。
   たとえば、機械のネジが欠損しておった場合、商品に混入している危険性があるので、出荷停止等の措置を速やかに(すみやかに)とり、ビスが見つかるまでそのラインの製造を取りやめる必要があります。


 それでは、HACCPに準拠した工場設計の手順を記述します

  まず、HACCPの7原則12の手順を踏まなければなりません。その内容は次のとおりです。

   1の手順・・・HACCPチームの編成(外部に委託しても、現場の者と管理の者とで組んだ自社のチームが必要です)
   2の手順,・・・製品についての記述・・・自社の製品について必要事項を網羅します。
   3の手順,・・・その製品の意図する用途(食べられ方等々)及び、対象消費者の確認(消費する人の年齢層等々)
   4の手順,・・・フロアーダイアグラム・施設内見取り図の作成(製造方法や製造場所での製造動線等々を書き込む)
   5の手順、・・・フロアーダイアグラム・施設内見取り図の現場確認(実際の製造現場と矛盾や違いはないかどうか)
   6の手順と1の原則・・・危害分析(HAハザード分析)及び危害リストの作成(異物混入の可能性がある危険箇所等々)
   7の手順と2の原則・・・CCP(重要管理点)の決定
   8の手順と3の原則・・・それぞれのCCPに於けるCL(管理基準点)の設定
   9の手順と4の原則・・・各CCPおけるモニタリング方法の設定
  10の手順と5の原則・・・管理点逸脱発生時の改善処置の設定
  11の手順と6の原則・・・検証方法の設定
  12の手順と7の原則・・・記録保管と文章作成規定の設定

 このようにHACCP準拠の食品工場のHACCPシステムとは、原材料。包装資材等の入荷から製品の出荷までの各工程において科学的な根拠を基準にして製品の安全を保証するシステムであり、製造中の各工程に見合った衛生管理と、その記録が取られていることが必要です。特に重要な行程は二重三重の監視を行うことが必要です。
 3っつの危害要因である生物学的、物理学的、科学的のうち、生物学的、物理学的については、原材料由来によるものに加えて、作業環境や設備、従業員から製造作業中に新たに危害要因として製品を汚染し問題になるケースが多く、これらの危険性の度合いを小さくし、工場全体の製品に対する安全性を高めることを目標とする工場が、HACCP対応工場、HACCP準拠であるといえましょう。

 このHACCP準拠をうたうために、施設・設備の衛生管理や従事者の衛生管理、衛生教育といった管理運営面(ソフト)での対応と、衛生管理をしやすくするための建物や設備(ハード)での充実が不可避となります。
 ここでいうソフトとハードはHACCPの基本として相互に補い合うものでありますが、ハードが充実していないときにソフト面だけで対応できるかというと、それは、現実上実際上実現不可能(Impossible Mission Force)なのです。あくまでHACCP準拠工場の基本はハードからそろえるということになるのです。

  このハードをそろえる基準はなにか?と申しますと、それがGMPなのです。英国の食品衛生法では、このGMPがHACCP取得の必要条件となっています。
 では、GMPとはなにか?ともうしますと、我が日本では、2004年(平成16)2月に厚労省が食品衛生法の改正に伴いコーデックス委員会の食品衛生の一般事項→GMP)の内容を参考にした「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」が策定されています。

 ただハードが大事とハード重視になりすぎても、あくまで運営は人間でありますから、もっと現実的に、工場整備のGMPに基づいた基本は、その本来の目的であります、工場の衛生管理、そして、HACCPシステムの運営と管理をより実行しやすくするためのハード整備であることを忘れてはなりません。
 実際の現場での製造システムを無視して理想を追求したGMPはかえって生産効率を阻害し、システムの運営に支障をきたすことになるのです。
 一番大事なことは、いかに働きやすい現場、作業環境で衛生管理をやりやすくし、安全な食品を製造する工場にしていくかを念頭に置いて工場改修計画を進めて行かなければならないのです。

 それでは食品工場のGMP(HACCP準拠)に基づいた整備改修の目的として次のような項目が考えられます。

 1,施設・設備を整備することにより、原料の受け入れから製品の製造・出荷までの衛生環境を確保すること

 2,交差汚染を防止すること

 3,従事者の衛生管理を行い、作業従事者から製品への汚染を防止すること

  それでは、この基本をおさえて改修計画を進めて行きましょう。


 製造システムを十分に把握することから・・・・ 



 一番大事な重要基本事項は製造システムを十分に理解し把握することです。

 改修するということは、最終的に、作業所の製造機械等のレイアウトを決め、それに付帯する水道等の諸施設を配置することによって製造工場が作られるわけで、製造工程を十分に吟味していないと無駄なスペースを作ってしまったり、必要な機能はスペースが欠落することにもなりかねないのです。
 作業工程の危害要因(特にネズミ、ごきぶり、小ハエ等の生物学的危害)について分析し、途中の工程でその危害要因を取り除けない時は、清潔作業区域として計画設計する必用性があります。

 改修コストの増大を防ぐためにもあまり理想にはしらず、可能であれば、工場全部を最高清潔度区画にするのではなく、各作業所ごとに清潔度で区分することが安い費用に抑えるポイントです。
 
 とにもかくにも製造工場でありますから、まず、製造工程を把握し検討することが一番大事なことなのです。
 そして、基本は、あまり理想を求めずに、いかに衛生管理がしやすく、かつ作業効率を落とさずに高品質な製品を製造することが出来る工場であるか?ということであり、そのために、ソフト面での充実を図ることが必要なのです。

 あまり、理想を求めてハードを充実させると、改修コストの増大の割には非効率になってしまうということに成りかねません。

  大事な動線計画の考察→改修の成否を握る・・・・

 食品が製造される場合、複数の作業場を移動しながら加工されるのがふつうですが、この移動のながれの中で”人””物”等々が移動していく流れを”動線”と呼んでいます。
 この動線を作業の効率を落とさずにかつ衛生を保ちながら計画できるかどうかで、工場改修の成否を左右します。

 動線の種類はだいたい6項目ぐらいです。

 1,”物”の動線→原材料の受け入れから最終製品になって出荷されるまでの道筋
 2,”人”の動線→各区画の作業員の出入りと区画間の作業員の移動、また、外部作業者との連携、そして、トイレへの往復の移動経路等々
 3,”空気”の動線→汚染区画から清浄区画へ空気が流れ込まないかどうか?空調の設計に注意が必要。
 4,”廃棄物”の動線→製造現場で発生する汚染廃棄物等不要物を屋外に運び出す経路
 5,”排水”の動線→製造現場で発生する洗浄水や生産設備から出る排水のルートの検証
 6,”生産動脈”の動線→生産に欠かすことのできない、電力線、水道管、蒸気パイプ、コンプレッサー配管、ガス配管等の供給ルート

 廃棄物、排水は、計画時に見落としやすいポイントで、”物”の動線で同じくらい重要です。
 また、この”人”の動線等にともなって、塵埃や髪の毛や、昆虫などの”汚染分子”もそれぞれの作業者の袖や頭や足に付着して侵入移動してきます。
 区画分けした動線を考える時はこの汚染分子の侵入防止策を考慮する必要があります。
 ISO14000でいう環境マネジメントと同じ考え方でありますが、各区画には必ず入り口と出口があり、この入り口出口の場所やおおきさ、或いは各入り口出口の汚染分子の侵入防止策等々を並べだして一覧にして表として現し検討することは大切です。

 どのような場合でも汚染物質は必ず侵入してくる・・・という前提の元に徹底的に検討して動線を立てることで初めて汚染物質の侵入を最小のものとして抑えることが出来、食品工場の衛生度を高めることができます。

 それでは、1の”物”から具体的に検討していきたいと思います。
  食品工場で取り扱う”物”とは原材料、製品、包装資材、廃棄物、汚染水排水、のだいたい5つです。


 食品工場の基本的区画分けは、
  
  イ汚染作業区(ふつうの部屋の事)→ロ準清潔区→ハ清潔区→二準清潔区→ホ汚染作業区と移動して出荷の運びとなります。

  このときの移動手段が一番の問題となります。たとえば、運搬用のパレットや台車、フォークリフトです。

 1,移動手段のパレットや台車やフォークリフトを汚染作業区から準清潔区に移動させてはなりません。
    →その理由は、フォークリフトや台車に虫や塵埃がついている可能性があるからです。
 2,外部(汚染区域)と内部(清浄区画)との間には、必ず2重の扉を設け、外部と内部との空気が遮断できるようしなければなりません。最低限エアーカーテンを付ける必要があります。
 3,外部で使用している運搬機器を準汚染区画に持ち込んではいけません。汚染区画まで出てしまった運搬機器はエアーで吹き飛ばし洗浄するか、高圧水洗浄してから、清潔区に持ち込まなければなりません。

 このようにイからロに運搬具を持ち込めないので、そこで、積み替えるスペースがいりますし、ホからハに戻す時に必要な運搬機器の洗浄スペースも考えなければなりません。


 つづいて廃棄物の動線についての考察

  製造工程に於ける廃棄物とは、その製造過程によって逐次発生するものですから、製造工程を把握して、よく考察推論しなければなりません。
 また、その処理方法も、一時保管して廃棄するのか、もしくは、逐次発生する度に廃棄するかによって、その動線もおおきく変わります。
  どの方法を採るにしても、製品を汚染する恐れがあるごとに、密閉保管するか、もしくは、逐次廃棄するということになるのですが、どのようなときでも、果たして、排出ルートが交差汚染を起こさずに確保する必要があるので、しっかりした廃棄物動線計画を練らなければなりません。


 2の人の動線についての考察

 食品工場の製造現場において、一番食品の汚染に危険性を及ぼすのは人間です。直接的に製造に関わる人も間接的に製造に関わる人もそして資材原料等を納品する外部の人も、また、見学等で現場を訪れる人もすべて、現場に足を踏み入れ関連する人は含みます。

 現場作業員は、個人衛生管理表などによって、衛生管理を行い、手指に傷のある人は作業を変えるなどの処置を執っていますが、外部訪問者にはそのような措置はとれないので、白衣に着替える、靴をスリッパ等に履き替える、手洗いをしてもらう、髪の毛除去を行ってもらう等の手順を踏んで入場してもらう必要があり、そのような施設のスペースを考える必要があります。
 また、資材原料等を搬入する外部業者が清浄区に立ち入ることはできませんし、また、汚染区であっても、白衣に着替える、スリッパに履き替える、手洗い、髪の毛除去を行ってもらう必要があります。
 物資の搬入に伴ううけわたしは、汚染区と清潔区のあいだに準備室をもうけることで直接の接触を防止し接触汚染の問題を解決します。この準備室は冷蔵庫となし、両面扉をもうけることで、直接の接触を防止し接触汚染を防ぐ事ができます。

 普段生産現場で働く作業員に関してですが、汚染区から清浄区への移動がないようにしなければなりません。
  なぜなら、汚染作業区で白衣や手指に付着した汚染物質等を、清浄区へ持ち込む恐れがあるからです。
 いちばん、気をつけなければならないのは、靴による伝染です。
 どんなに清浄に保とうとした床でも、常に床面は汚染されており、従事者が歩くことによって、各区画各部屋へ伝染していくことになるのです。
 それを防ぐためには、汚染区と清浄区の作業員が接触しないように、受け渡しのトンネルのような、ベルトコンベヤーもしくはローラーコンベヤーシステムを設け、受け渡し専用トンネルとして、いろんな物資を汚染区から清浄区への送り込み、清浄区からは、受け取るというようなシステムを作る工夫が必要です。

 作業員が着用する白衣の動線も重要です。
 作業員が食品を汚染する可能性は、食品が直接の接触をもつ製造機械よりも大なりなのです。
 なぜなら、人体というのは常に細菌を持ち歩くものであり、たとえ、手洗いを励行して洗浄殺菌しても、時間経過によって細菌が増殖し、再び汚染した手や指になっていることからもわかります。

 そういう観点からも、更衣室のロッカーは、汚染物質を外部で付着させてきた、外履きの靴や、外套や外出用衣服の保管するところとは別に、白衣や作業靴の保管ロッカーがあるのが理想的です

 ロッカールームの設計にあたっては、従来の常識の2倍の広さが必要であるというのは、こういう理由からです。
 もし、作業用白衣と、外出用衣服が一緒のロッカーに交互に保管されるということは、交差汚染の可能性が出てきます。やはり、外出着用ロッカーと作業着用ロッカーに分けて於いて、順番に脱ぎながら移動しつつ作業用白衣を着るというのが理想です。スペースが今までの常識の倍いることになりますが、新規に改修新築をする場合は思い切ってダブルロッカーにしましょう。
 更衣室というのは、衛生管理の上で以外と盲点であるのですが、最重要ポイントであることを忘れてはなりません。

 ロッカールームの設計のまとめとしては、
 外出着の汚染を作業用白衣に付着させないように(交差汚染がないように)、動線を設計し、かつ、手順も確立して、毛髪除去、手洗い消毒をおこなったあと、作業場に入室するように、動線を設計します。

つづいて3の空気の動線についての考察

  基本としては、まず、外気の取り入れ口に必ず400メッシュパスのフィルターをつけ、塵埃や微生物、微小昆虫の侵入を阻止する工夫が必要です。そのためには、何も制御されない自然流入の外気の侵入や、意図しないすきまからの外気の侵入を阻止することが肝要です。
  最低限、外気に面する作業場には、出入り口に必ず、予備室をもうけ、扉をそれぞれにつけて、二重にする必要があります。
 しかし、それでは、外気の流れが一気に作業場に流れ込む可能性がありますので、
 食品工場の空気の動線としては
    専門用語で、第一種機械換気と言いますが→換気扇の能力<吸気扇の能力と為す必要があります。
            第二種機械換気といいますが→排気口の能力<吸気扇の能力と為す必要があります。
           のようにして、外気が作業場に流れ込まない設計が必要です。

 これとは別に、トイレや悪臭廃棄物置き場の為に
            第三種機械換気といいますが→吸気口の能力<換気扇の能力と為して、部屋の空気が作業所に流れ込まずに外気に排出させる設計が必要な場所もあります。

  まとめとして、汚染区から清浄区への空気の移動がおこらないように、する必要があるということです。

  HACCPを成功させるためには、この最初の段階での検討が大変に重要なのです。


そのためには生産工程の流れをよく把握するためにフローチャートを作ります

 HACCPのフローチャートの書き方のルールは次のとおりです。

   1,工程名、工程で使用する機械名
   2,作業内容(加工内容や温度や、蒸気圧とか加熱時間とか)

  注意事項としては、機械名で書かずに行程名で書くことです。その理由は、機械をつかわない加工工程が必ずあるからです。

 フローチャートを書くことによってなにがわかるかと申しますと

  1,生産量の障害となる要因
  2,工程が必ず存在する複雑なかつ困難な工程の場所
  3,異物混入の危険性のある工程の場所
  4,その最大生産能力
  5,そのラインにおける必要人員
  6,そのラインで消費する原材料と量
  7,どの区画にラインをまたがらせているか

 以上のようなことがわからないようであれば、必要事項を網羅したフローチャートとはいえません。

 また、HACCP システムの基本は、フローチャートであるといわれるくらい、重要なものでありながら、製造されている製品のフローチャートを書いていない食品工場は以外と多いのです。また、たとえ書いていても上記の内容がわからないような簡易なものが多いのも実情です。
 その理由は、フローチャートの使用目的が良く理解されていないからです。

 一例を次に書き記します。

  1,原料受け入れ→2,原料検査(検査不合格品は返却のこと)→3,原料開封→4,原料計量→5計量小分け→6,小分け原料保管→7小分け原料投入(ミキサー使用)→8,混合(混合温度38度30分)→9、焼成(焼成機にかける)→10半製品→11,半製品計量→12,半製品一時保管→13半製品混合(混合ベルト使用)14計量→15乾燥剤投入→16封入(ゴムバンドとガムテープ)

 このフローチャートを見て、生産設備の配置を決め、動線の交差がないか、検討します。

 生産設備の配置についての考察
            
  1,ひと、もの、空気の動線をよく考えて交差汚染の発生しない配置を徹底すること

  2,のちのちの生産設備のメンテナンスを考慮した、ゆとりのある配置と為すこと

  3,かならず確保しなければならないもの
    イ機械設備の洗浄場所→洗浄場所及び乾燥場所及び保管場所及び収納場所(機械部品や補修部品や仕掛品や清掃道具等々)
    ロ、機械設備の修理調整場所
    ハ、製造管理場所
    二、空調機、コンプレッサー、集塵機等の設置場所
    ホ、中央制御室、電気室などの配管掌握室
    へ、給湯器、水処理(給水、排水共)施設、殺菌消毒施設

  4,清潔度を確保できる、区画配置と為すこと
     汚染区と清浄区との間仕切りは、生産設備にあったもでなくてはなりませんので、余裕をもった配置をして、間仕切り部分の準備室の確保を考慮します。

  5,生産ラインをまたいで、移動できるように、設備をくぐれるような工夫が必要です。

  6,建物の付帯設備の設置を考慮する
    イ、倉庫
    ロ ボイラーコンプレッサー等の生産に必要な配管
    ハ、廃棄物の排出場所
    二、メンテナンスに必要になるであろうスペース
    ホ、将来の増設時に必要な機械設備の搬入搬出口
    へエレベータ(2階以上の建屋の時)階段位置

 製造に必要なスペースと建屋の規模の関係について
 
   1,原材料の搬入ルートの確保と投入スペースの確保
   2,水道、蒸気や高圧エアー、電気等の配管ビットスペースの確保
       配管を壁や天井に剥き出しで、付けている例がよくありますが、清掃しにくくよくないです。 
       配管ビットをもうけ、ステンレスのめくら蓋ができると後々都合がよいです。
   3,包装資材等の搬入ルートの確保
   4,仕掛品の搬出ルートの確保
   5,各機械やルートのメンテナンススペースの確保

 HACCP準拠工場による床の施工についての考察

 レベル

 防虫防鼠の対策として、基準の地盤のから、床の高さは最低限300から800(トラック荷台に合わせる場合)上げなければなりません。
 従来の食品工場の大半がフォークリフトの侵入を優先して、基準地盤面と一緒にしていましたが、HACCPとしては失格です。しかし、改修で、かさ上げ不可の場合は、徹底した防虫防鼠の対策が望まれます。

 勾配
  
 床の勾配は、100分の1が理想です。立っていても違和感がなく、洗浄後スイーパを欠ける必要がありません。
 最新のHACCP工場の床面に付ける排水溝はできるだけ大きくゆるやかな100分の1の勾配で作り、その傾斜面に立って作業出来るようなくらいのゆるやかな傾斜のものとしてフタ無しとし、部屋センターに向かって流れるようにしてあります。最後の排水口は普段はフタをして締め切り、作業終了後の清掃時に開けて、水を流すようにしなければならない。・・・と蓋無しが理想となっています。

 床に塗る塗料

 床に塗る塗料は、上をみればきりがありませんが、ホームセンターで売られている床用水性塗料を塗るのが、先々のメンテに便利です。しかし、このときでも下地を可能な限り平面にしあげる必要があります。(何十回と塗り重ねることである程度平面性は確保できます)なお、塗膜の厚さは2ミリにします。これは、塗料メーカーに問い合わせて何回塗りで可能か聞くのがよいでしょう。

 特に近年床材は水性塗料ではダメだといわれていますが、これは剥がれる危険性があるからです。
 ですから、逆に言えば剥がれる前に、どんどん上塗りします・・・というようなルールを設けて、定期的に上塗りする→、目視チェックする→記録する→チェックを確認する→の繰り返しをすればHACCPに準じます。→この繰り返しがめんどうだと現場がいうなら、剥離しないしっかりとした床材例えばステン3ミリ板を張りなさいということです。また、ドライ床とウエット床では、滑り具合がありますので、ステンでも磨きのかかっていない、通称しろかわといわれるステンを使えばよいです。

 フォークリフトや重量台車が通るとこでは、3ミリのステン板を張った、貼り床にすると耐久性があります。このまわりのステン以外のところは塗料を塗ります。

 窓についての考察

 窓は無いのが理想ですが、消防法の関係で、火災時排煙窓が必要です。この場合でも引き違い窓でありますと、小昆虫の侵入をゆるす危険性がありますから、全面開閉式の窓枠にパッキン加工を施した密閉式の排煙窓とします。
 すでに既存の引き違い窓がある場合は、ラブホテルのように(人から聞いた話ですよ・・笑)、内側に密閉式パッキンをつけた全面開閉可能とした板窓を付けます。これは遮音効果と断熱効果もあります。→消防法でも通ります。ただし、施錠してはいけません。

 内壁の仕上げについての考察

  壁も上をみればきりがないのですが、ステンレス(0.3ミリ)を貼るのが理想です。この場合、ステン釘のタッカーを使用しなくてはなりません。
  ステンでない場合は、抗菌仕様の鉄板焼き付け塗装ボードがよいです。カビの発生がなく10年近く清掃がいりません。
  いずれにしても、極端に言うと水を掛けて清掃しやすいような平滑な平面が要求されます。

  床と壁とのコーナーはR付けしなくてはなりません。最低半径30ミリ以上必要です。50ミリくらいが理想で、それよりおおきなRでももちろんよいのですが、空間がせまくなって、機器の配置の苦労します。

 ホームセンターに行くと、樹脂製の”アール(R)巾木”や”R付きコーナー”というのが、木材販売部門で売っています。既存の施設を改修する際は、これを利用すると良いでしょう。ただし、水を流して洗う床の場合は、使えないので、ステンレス製の煙突を買ってきて半分に挽き割ってコーナー材とします。

 柱についての考察

 角の柱の場合は問題がありませんが、H型やジョンストン型の柱の場合は、周囲をボードなどで囲い、掃除しやすくします。また、もちろん、隙間等は、防かびコーキングでふさいで、異物が発生するのを防ぎます。

 天井についての考察

 GMPの文献や厚労省の”衛生規範”をひもときますと、天井は平滑であること。・・・となっています。
 いずれにしても、かならず、天井は貼らなくてはならないのですが、この天井裏に前述の配管をとおして、天井裏を配管ビットにする必要もあります。
 天井をステン等ではる場合の注意点は裏に断熱材を貼り付けることです。なぜなら、機械始動時の温度差で結露が発生して、異物混入の元となるからです。
 また、点検口をもうける必要がありますが、点検口は密閉構造となし、点検口の下にはなにもないことが必要です。

 排水系統についての考察

 1,生産工程の排水(床や機器洗浄等々)→グリーストラップ→排水処理→下水道(もしくは浄化槽)

 2,工場冷却水系統(冷却用の汚れのない排水)→リサイクル使用→下水道(もしくは浄化槽)

 3,生活排水系統(食堂、事務所、トイレ等)→下水道(もしくいは浄化槽)

 4,雨水系統→屋根や道路などの雨水排水→下水道もしくは河川

  どちらにしても、排水溝からごきぶりやネズミの侵入をゆるしますから、めくら排水桶に一旦排水を貯めて、水中ポンプで逆止弁をとおして、排水する配慮が必要です。


 廃棄物の処理についての考察

 産業廃棄物、リサイクル廃棄物等々各地方での条例に従って廃棄物の区分けとそれぞれの容器を用意して、表面への表示や色分け等でわかりやすく区分します。

  注意点としては、

 生産工程のすぐそばに置く物は密閉容器となし、よくわかる表示をすること。→運搬→工場廃棄物置き場→廃棄物運搬→廃棄物処理業者→処分

 HACCP対応となると、仕掛品と不良品が廃棄物と混在しないように、システムを作り、不要物が製品製造ラインに間違っても混入しないように、各区分を明確にします。

 また、廃棄物の処理はマニュフェス(処分証明書)を業者に出してももらって、不法投棄がおこらないような配慮が必要です。

 HACCP準拠による設備の考察

 1,原材料搬入に必要な設備

 ドックシェルター、エアーカーテン、スチールシャッター、シートシャッター、エアーシャッター、エアーシャワードアガードボール等がありますが、それぞれの特性に合わせて採用する必要があります。→各特性性能はインターネットで各自調べて下さい。富田林菓業会は各業者からバックマージンはもらってません(笑い)。

 2原材料置き場

 原材料置き場はネズミや昆虫に一番おそわれやすいところです。

 まず、室内は清掃しやすい構造にします。
 また、壁などが破損しないよう台車が当たっても大丈夫なようにガードレールや鎧板ゴム(アーマー)をつけます。
 原材料は床に直置きにしないで、パレット等の上におき、壁との間隔を空け清掃しやすい状態とします。
 このパレットも定期的に高圧洗浄機で洗う必要があります。もちろん記録も必要です。
 先入れ先出し、保管日数などの在庫棚管理が必要ですので、それができるような、原材料置き場のスペースの確保が必要です。

 3,原材料搬入から・加工・製品出荷までのフローチャートを書いて、広さ、配置を決めます。生産能力はできれば2倍のダイナミックマージン(生産与力)を見ておきたいです。

 フローチャート(原材料搬入から・加工・製品出荷)の一例を挙げておきます。

  原材料搬入→受け入れ検査→クリーニング(エアーシャワーやエアー吹き、電気掃除機等)→開梱→倉庫保管→計量→製造加工→製品梱包倉庫保管→製品検査→製品出荷

  ここで緑は一般区画、黄色は準清潔区画白は清潔区画です。

 人の更衣施設等の入室、外出から作業場入り口までについての考察

 出勤→入室チェック→更衣室入り口で出勤靴を脱いで出勤用靴箱に入れる→外出着を外出用ロッカーに入れる→白衣を白衣用ロッカーから出して更衣→更衣室出口にて、作業用靴を作業用靴箱から出して履く→作業予備室に入る→エアーシャワー→毛髪除去ロール(コロコロ)→鏡前にて服装チェック→手洗い→手指消毒作業場に入る

 エアーシャワーはあっても無くても良いのですが、統計的に飛躍的に髪の毛混入事故が減ります。また、エアシャワーをとおることで、清潔区画に入ることを自覚して、すべての清潔度に注意を喚起する効果もあります。
 作業予備室で作業用靴を履くのを、作業準備室とし、エアーシャワーからコロコロまでを素足とすることもできます。

トイレの設置場所についての考察
 トイレ設置場所は作業予備室とするのが良いです。トイレに行ったあと、再びエアーシャワー等を通って作業室に戻ることができて理想的です。
 また、トイレは専用の履き物を用意し、履き替えて入室する設備がいります。

 作業予備室の衛生機器についての考察
 
 作業予備室は、作業する前に必ず入室する部屋のことをいい、ここを通らずに作業場に入れないような構造にすることが必要です。本当はできるだけゆったりとした構造にして、作業する前に心の準備をする部屋でもあります。
 出来るだけそろえなくてはならない設備としてはエアーシャワーがあります。
  作業員の数に応じて複数台設置する必要がある場合もあります。また、開き戸より、引き戸のほうがスペース上でも使い勝手の上でも都合がよいです。
 いずれにしてもエアーシャワーを通ったあとに、必ずコロコロで仕上げる必要があります。

 最後に服装をチェックする上で全身が見える鏡があることが必要です。

 手指洗浄装置ついて・・・
 エアータオルがありますが、なかなk乾くまで使う人がすくないので、ペーパータオルで水分をとってからエアータオルを使うのが良いです。また、しぶきのたれるような手をエアータオルに入れると、しぶきが飛んで、雑菌をまき散らすことになりますので、ペーパータオルで水分をふき取ることは重要です。


空調設備についての考察

  空調機は、床置き型、天井埋め込み型、ダクト吹きだし型、等々がありますが、食品製造現場は場所によって温度湿度が大きくこなることが多いので、中央集中式の空調機は不向きです。

 後々の清掃を考えると床置きの空調機がよいです。この場合でも、設置に際しては、300ミリほどの足をつけて空調機の下に溜まるホコリが清掃できるようにします。

防虫対策についての考察

 外部からの侵入の阻止するために、解放された空間がないようにするのが基本です。排気口は、一番の難点で、後々清掃しやすい場所に400メッシュパスのステンレス金網を設置します。

 次に、原材料、資材、包装材料、そして人に付着して、入ってくる虫や、卵や幼虫対策です。作業場に入ってから成長して虫になる場合もありますので、清掃しやすい工場にすること、また、エアシャワーをとおることで、防ぐようにします。

 このように、どんなに注意しても対策をとっても、室内で成長して虫になる場合がありますので、水がたまるようなところを作らないのはもちろんのこと、空調機の下とか、集塵機やその他の機器の下の隙間を清掃しやすいようにして、定期的に清掃する必要があります。
  盲点は、作業テーブルや台車等の裏側です。定期的な清掃ができるようマニュアル化して対策をとります。
 しかし、どんなに対策をとっても、虫の侵入は防ぎきらないものでありますから、電気ハエ取り紙や電撃殺虫機をつかって、侵入した虫の捕獲を行います。
 この場合でも、電撃のあと虫が飛散しないような電圧の殺虫機を使う配慮が必要です。

異物侵入対策についての考察
 異物は原料から発生したり、設備、建物、工具、運搬用台車等々から作業員に至るまで、およそ、作業に関わるすべてから発せする可能性があります。
 この可能性を排除するために、清潔度区分をして、区画分けをおこなうわけです。この区画間の移動中に異物が侵入します。
 区画間の移動は、パストンネルを作って、トンネル中にエアーシャワーをつけるなどの配慮が必要です。
 また、製品の段階で、金属検知器、X線透視装置、等々を使って、異物侵入を検知します。
 これらの、検知器で検知できないものについては、パストンネル、エアーシャワー、エアーカーテン等々を用いて可能な限り侵入の可能性を排除します。

エレベーター、ダムウエイについての考察。
 エレベーター、リフト、ダムウエイ等々については、作業上どうしても必要なものですが、そのビット内の清掃が、以外と盲点となります。
 新しく設置する必要が生じた場合、かならず、ビット内が清掃しやすい構造にする必要があります。特に人の乗れないリフトの場合は注意が必要です。

 見学者対策、及び、外部からの侵入に対する、安全管理についての考察

 外部からの不法侵入対策
 まず、基本的な”自覚”として、食品工場は消費者の生命に関わる食品を製造加工するところであるという意識観点で対応しなければなりません。うちのように小さいところは・・・は通用しないのです

 工場にフェンスは必要です。そして、不審者が乗り越えて入ってこないように、ビデオ監視や、赤外線監視等々のセキュリテイ対策をとります。

 見学者対策としては、窓付きの仕切り空間を作って、汚染をふせぎます。もし、製造区画に入れる場合、現場作業員に準ずる対策を講じてから入ってもらいます。


  建物の構造と異物混入についての考察

  異物混入で、物理的危害として危険度の高い、ガラス、金属片ですが、製造工程で製品が直接露出する工程での、ガラス使用は、禁止します。ドウしようもない場合でも、飛散防止フイルム、強化ガラス、あるいは、ポリカ平板にする等対策が必要です。
 以外と盲点であるのは、建築物ではなく、設備機器の計器類やのぞき窓です。メーター部にカバーをするなどの対策をとります。

 蛍光灯に対しては、蛍光灯の器具自身にカバーのついているものを使うのがホコリも溜まらず理想的ですが、露出型の蛍光灯でも飛散防止のフィルムを貼るか、カバー(バンガード)をつけると良いです。すこし、高価になりますが、LEDの蛍光灯型がありますので、飛散防止対策としても、防虫対策としても、節電対策としても有効です。

 金属の混入の可能性のあるものは、ビス、ボルト、針金などです。
 ビスボルトは、振動が多く、熱がかかる場所などは経年経時変化によって緩み脱落する可能性大でありますので、もし、製造ライン上であるのならば、脱落しても製品に混入しないように、脱落防止カバーを付ける等々の工夫が必要です。また、かならず、ビス、ボルトに増し締め時の位置をマーキングして、緩みが出ても目視で脱落前に発見可能とします。

 樹脂類は、壁のコーナーのRや建具の枠等々に使用され、なにかの物がぶつかったときに、破損飛散する可能性があります。
 作業上、物がぶつかりやすい部分は、飛散防止対策として、少し高価でありますが、ステンレス製のRや枠を用います。
 台車等がコーナーの曲がり角でぶつけやすいところでは、ゴム製カバー(アーマー)や、ガードレールを設置して、直接壁にぶつからないようにすることが大切です。

 建物の溶接箇所は、経年変化によって劣化し、溶接面の上についている保護皮膜(溶接ノロ)が剥離脱落混入する事があります。そういう部分は安易な塗装にせずに、下地処理に手間をかけ、定期的に塗り替えができるように施工します。

 また、製造ライン内での、配電盤や、エアコン吹き出し口は、必ず焼き付け塗装にして、塗料の剥離を防ぎます。→焼き付け塗装は、塗料塗布後、30分以上赤外線ランプで加熱することで、強固な皮膜を作ることができます。

 建物から直接でてくるものではないですが、注意が必要なのは、天井の構造です。天井の梁などのコの字の部分にほこりがたまり落下してきて浮遊して異物混入と成る事例が多々ありましたので、天井材はホコリのつきにくい拭き取り清掃のしやすい平滑な材料をつかいます。理想的にはステンレスです。
 また、コーナーの曲がり角はホコリのつきにくいかつ清掃のしやすい50Rのついた形状にします。

 窓もRをつけるのが理想ですが、せめて額縁のように45度の斜めの枠とします。


 カビ対策

 製造現場においては、湿度や食品や原材料から発生する粉塵による養分によってカビが発生しやすい状態にあります。
 ですから、カビが発生しにくい環境を工場設計の段階から考慮する必要があります。

 生産ラインから発生する蒸気を室内に逃がさないためのフードや、除湿装置や、低温空調設備(20度以下
でも除湿空調出来る冷蔵庫内のような設備)、室内の洗浄が簡単にくりかえしできるような施工等々の工夫が必要です。

 1,二酸化チタンによる光触媒を利用する。
  条件として、太陽光もしくは、ほぼ、常時蛍光灯(紫外線)に照射されていることが必要ですが、二酸化チタンを天井や壁に塗ることで、防かび効果があります。二酸化チタンは、紫外線があたるとプラスに荷電帯電され、有機物を酸化させて除去できます。

 2,銀イオン法を利用する
  塗料に銀の粉末をまぜて、塗る(日本新素材株式会社 TEL:078-335-5115 FAX:078-335-5714)

 3,抗菌塗料を使う
    スルフイミド系有機系防かび効果剤を含んだ塗料をつかう。


 生産工程(食品工場)からでてくる廃棄物への考察

  原料から出てくる物、製造工程から出てくるもの、容器や包装材からでてくるもの、管理上の事務用品からでてくるもの、食堂や休憩室からでてくる食器洗い水、食べ物残渣などがあります。
 このうち、HACCPの考え方で特に気をつけなければならないのは、製造工程から発生する廃棄物の排出経路が生産工程と交差して生産工程を汚染しないか?、また、その廃棄物保管容器が密閉性が確保されているか?ということです。
 もし交差するようであれば、生産稼働時間中は保管して、生産稼働中の排出工程との交差汚染を防ぎます。
 腐敗するようなものであれば、廃棄物といえども専用の冷蔵冷凍設備を用意して保管します。

 排水についての考察

 排水については、どれだけの排水量、どれだけのBOD量であるかを予想し、その処理量の3倍くらいの能力を持つ浄化槽を設計施工します。
 その都道府県によって、水質汚濁防止法が施行されていて、知らないままに法律が施行され、法令違反をしている場合がありますので、注意が必要です。

 排水処理システムとしては物理的処理(スクリーン、沈殿等々)、生物化学的処理(活性汚泥法、接触曝気法、嫌気性消化法、BMW花崗岩最終処理法等々)、化学的処理(中和、吸着、薬品凝集等々)がそれぞれの特性に応じて組み見合わされて処理システムとして作られます。

 機械的には、加圧浮上装置、脱水機、活性汚泥処理装置などの組み合わせです。

 水素イオン濃度(PH)生物化学的酸素要求量(BOD)化学的酸素要求量(COD)浮遊物質量(SS)ノルマルヘキサン抽出物質量(n−H)とカドミウムなどの有害物質の排水基準をクリアします。くわしくは、専門排水処理システム業者のご相談ください。

 グリーストラップの設置についての考察

 グリーストラップの設置は油脂を含んだ油分を分離して排水するために、大量調理施設にはなくてはならないものです。昭和51年に法制化され、飲食店・学校給食・病院・社員食堂・老人ホーム・食品加工工場などへの設置がぎむづけられています。

  設備を自動化するための方法として、
 1,オゾンによる油分の分解
 2,微生物による油分の分解
 3,酵素による油分の分解
 4,機械的自動分離による自動洗浄式
 があります。





 作業場の温度や湿度等の環境保全システムの考察

 温度の設定は、22〜23度付近までは、空冷式ヒートポンプ方式(スポットクーラーに採用されている方式)で十分に対応可能ですが、それ以下の20度以下は低温仕様の冷媒の種類の違った特殊機器になります。
 人にあたる風の方向によって体感温度は大きく変わりますから、作業場所と吹き出し口の検討は重要です。

 湿度の設定は食品工場、クリーンルームや蒸気発生量の多い製造機械を使用する場合は重要なポイントになります。
 カビや菌の発生増殖を抑えるためには、乾燥した状態である50%以下の湿度を保ちたいのですが、空気を低温にして結露水として水分を取り去り再び加熱する家庭用除湿機のようなものから、シリカゲルに吸着させて電気ヒーター加熱で水分を除去するドイツ方式など色々方式はありますが、いずれにしてもエネルギーコストがかさみ、乾燥用の換気システムを作るなど、個別の対応が必要です。

 以下生産工程で注意を要する部署について述べます。

  冷凍食品をあつかう工程では、菌の増殖を防ぐために低温を維持するシステムを構築する必要があります。
  製粉工場や粉体を材料にし、かつ、湿度で粉体原料の品質の劣化を招くと困る工程では、低湿度を維持するシステムを構築する必要があります。
  雑菌を嫌うパンやケーキなどを包装する工程では無菌に近い空気清浄度を維持するシステムを構築する必要があります。
 
 作業工程上注意を要する部署

 加熱工程で周囲の人員にたいする輻射熱が大きく、作業条件の改善が要望される部署。
 重労働で汗をかく部署→白衣、電着帽、マスクの着用を義務づける以上、湿度温度を下げるシステムを構築する必要があります。
 蒸気等の湯気の発生により、結露しやすい部署→結露はカビの発生、菌の増殖を呼びますので、温度湿度を下げるシステムを構築する必要があります。

  クリーンルーム等の考察

 クリーンルームは、無菌包装をする場合に有効です。清浄度を管理するために、クリーンルーム内を気密構造と為し、ルーム内の空気を循環濾過してフィルターで塵埃を除去し、シャープの空気清浄器プラズマイオンクラスターをつかって微生物等を殺菌除去します。
 ただし、クリーンルームの維持管理にはイニシャルコストもランニングコストも馬鹿になりません。必要最小限度のものとして、包装部門、製造工程のクリーンブースとして対応するのが賢明です。局所クリーンルームとする発想の転換が必要です。

 HACCPにおけるクリーンルームの4原則を次に述べておきます。

 1,クリーンルーム内に汚染源を持ち込まない。
   クリーンスーツを着用、資材原料はエアシャワートンネルをとおし、パスルームの人用エアーシャワー経由で搬入
 2,汚染源を発生させない。
   クリーンスーツを着用、塵埃のおおい備品や作業に不要な不要品の持ち込みを禁止する、ルーム内の除湿に注意し、結露等の発生に留意すること
 3,汚染した物を速やかに(すみやかに)除去する。
   フイルター濾過スクリーンの換気通過回数に注意、気流分布の予測制御、清掃洗浄の完全実施、やむを得ない製品の塵埃発生を、直近で吸引除去。
 4,汚れを蓄積体積させない→積もったほこりを再飛散させないということです。
  極力平滑な壁、天井、床、露出設備を減らす。(常に簡単に清掃できるようにする)、建具や床壁との隅部のアールによって塵埃の堆積しにくい構造と為す。

 1のクリーンルームへの汚染源を持ち込まない。には、人による汚染源の持ち込みが一番多いです。対策としてはクリーンルームに入る前にクリーンスーツの着用を義務づけます。その上で、手や指を消毒したり、髪の毛を除去できるクリーン準備室を設けエアーシャワーの手前にある準備室をプラス圧と為し、その管理を行います。、手洗いの時間を厳守させるために、もういくつねるとおしょうがつ・・・・と歌をワンコーラス歌わせて手を洗う等のルールを設けます。
 クリーンルーム等の成功の鍵はハードよりも運用管理方法というソフトの方が大きいです。クリーンルーム等に出入りする必要のある人全員の理解と覚悟が必要です。一人でもルールを護りきれない人がいるとルーム内への汚染がひろがります。

 2,の汚染源を発生させない。では、原材料資材等を持ち込む時にトンネルとしてエアーシャワーを設置する必要があります。

 手洗いの装置としては、手洗い時の水滴が床に飛び散らないように配慮します。もちろん、エアータオル、ペーパータオルで水分をとる場合も同様です。

 エアーシャワーは、一人用の方が、確実に毛を吹き飛ばしますが、人数に合わせての設置場所との兼ね合いになります。また、風流のながれは、両面吹き出し、床吸い込みが理想です。壁面の仕様材料は、ステンが一番ですが、アルミはダメで、抗菌塗料の焼き付け鋼板、か、ふつうの焼き付け鋼板がよいです。

 照明器具は防塵対応のものとします。

 また、紫外線の出しにくい緑系の虫をよせつけにくいものとするのが理想です。

 長靴やクリーンスーツの乾燥機を兼ねた殺菌用ロッカーが必要です。

 清掃しやすいように、傾斜が75分1床で排水溝なしとし清掃のしやすい枡に水を集め、底面に付けたポンプで、ポンプ両側に逆至弁を配して汚水を通して排水します。

 自動扉は必須です。

 外部と直接触れないように、ドックシェルターをつけます。

 防虫トラップを設け紫外線燈で吸虫します。

 防塵型の専用電話等通信手段を確保します。

 書類等の紙類は、塵埃を発生しますので、CRT等のペーパレス化で意思疎通を達成します。

 
 外壁等の色彩や絵や写真を貼ることの考察

 外壁の色や書き込む絵柄は、地域での企業イメージを左右します。食品工場では、青や緑や暖色系を採用します。が地域によっては条例によって色彩が決められていることもあります。ウサギ等の動物の絵は企業イメージを改善します。

 照明についての考察

 照明の基準はJISによって食品工場の場合、750ルクス以上とさだめられています。作業場以外は300ルクス以上です。実際の照度は照度計を買って、常に検査しましょう。

 防災についての考察

 もし、地震等の災害がおこっても、近隣の人々に配給できるような、非常食料や水を用意するのが、企業の社会的使命です。
 どんなにHACCPを謳ってもこの根本のところの社会奉仕の精神がなければ、有名無実となるのです。
 それが出来てから始めて、工場の地震対策や、浄化槽の装備がいるのです。もし、下水道が通っていても、東京ディズニーランドのように浄化槽を装備し、中水として利用できるくらいの考慮が必要です。TDLの地震後の対応をみると、浄化槽の完備で、みごとな再建がなされていて、米国HACCPの底力を感じさせます。












































GMPについて
GMPとは Good Manufacturing Practiceグッドマニュファクリングプラクテスの略で適正製造規範と訳します。
 適正製造規範は頭文字からGMP(ジーエムピー)と呼ばれることが多いです。
1960年代初頭から米国で採用された規則で、安全性でよりよい品質や健全性を有する医薬品・食品等を製造するための製造時の管理・遵守事項が定められています。
米国のGMPは法的強制力を持つ連邦規則であり、日本でも医薬品に関しては薬事法に取り入れられたが、食品に関しては法律に基づいたGMPの策定はされていません。→TPP参加にともないいずれ法制化されるのは必至です。

 その後米国では食品に由来する危害を防止するためには、まず原料の安全性を確保し、次に汚染防止対策のためにGMPを遵守し、さらに重要な危害をコントロールするためにHACCPを導入する「農場から食卓まで」という政策に繋がり、このころから世界各国でHACCP導入の機運が高まったのです。
 飼育農場における一般的衛生管理はGAP(適正農業規範:Good Agricultural Practice )、GHP (適正衛生規範:Good Hygiene Practice )などと呼ばれる適正規範があります。

 米国のGMPの内容は、日本ではコーデックス委員会の「食品衛生の一般原則」、総合衛生管理製造過程実施要領別表第1「衛生管理の方法」や、食品衛生法に基づき地方自治体が定める「施設基準」・「管理運営基準」に該当します。

参照

1)食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp 10〜17
2)HACCPこれからの食品工場の自主衛生管理 編集河端俊治/春田三佐夫 発行1992 中央法規(株)pp 5〜9
3)食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp 90〜92

SSOPについて
SSOP Sanitation Standard Operating Proceduresサニテーションスタンダードオペレーテングプロシージャーの略で衛生標準作業手順と訳します。
 衛生管理に関する手順のことを示しています。
 又、その内容を「いつ、どこで、だれが、何を、どのようにするか」が分かるように文書化したものを衛生標準作業手順書といいます。
 SSOPの対象となるのは、使用水の衛生管理、機械器具の洗浄殺菌、交差汚染の防止、手指の消毒・殺菌、従事者の健康管理、有毒・有害物質・金属異物などの食品への混入、飛沫・ドリップなどによる食品への汚染防止、トイレの清潔維持、鼠(そ)属・昆虫の防除などである。
これらの衛生管理が適切に実施されると、HACCPの導入が容易になります。 

 SSOPを文書化するときは、目的に適った作業が確実に実行できるように、かつ担当者によって解釈が異なることがないよう作業の手順に従って具体的に書くとよいのです。
 又、文章でなく、図やイラストだけでも構わないことになっています。

 衛生管理の実施状況は日常的に点検し、記録することが重要なので、点検方法や記録の仕方についても手順を決めておく必要があります。
実施状況に不備があったときはそのことを記録し、さらにどのように改善したのかについても記録しておかなければならないのは当然のことです。

参照

1)食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp 20〜45 67〜75
2)食品の安全を創るHACCP  HACCP プラン作成ガイド 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp34〜39

CODEX(コーデックス)委員会とは・・・食品の規格基準を決める国際機関
 1962年FAO(国連食料農業機構)とWHO(世界保健機構)によって国連内に設置されました
 世界共通の基準を設定し、食品貿易の公正化を図ることを目的として設立されています。






CCPとはコントロールクリチカルポイントのことで
 HACCP導入のためのガイドライン(7原則12手順)の原則2手順7に示されている。
 危害分析HAで明らかにされた重要な危害要因を管理するために必須の工程をCCP(重要管理点)に定める。
 CCP重要管理点については、管理基準(CL)を設定し、それを逸脱していないかモニタリング(監視)を行うことで危害の発生を防ぎ、逸脱が発生した場合に速やかに改善措置をとることができる計画(HACCPプラン)を作る。
 それにともない、モニタリング結果は記録して保管する必要があり、その手順もマニュアルで決める必要がある。
 CCP重要管理点を決定する場合は、不必要なCCP重要管理点を設定することで無駄なモニタリングが増えないよう細かい検討と討論を繰り返して、適切な箇所に設定しなければならない。
 CCP重要管理点にしなくても危害を管理できる工程やHACCPプランの要件を満たすことのできない工程はCCP重要管理点にしてはならない。また一般的な衛生管理で管理できる工程もCCP重要管理点にはしないことが肝要である。

 食品製造者だけではなく、包装材料提供者やサービス提供者等にも適用できることを認む。

参照

1)食品の安全性評価と確認 著者池戸重信 発行2003年 (株)サイエンスフォーラム pp178
2)わかりやすい食品衛生の手引き 編集保険研究会 発行1999 新日本法規 pp1051〜1076
3)HACCPの現状とQ and A 編集小久保弥太郎 発行2003 (社)食品衛生協会 pp7〜21
4)食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp88〜90

CLとはコントロールリミットのことで
HACCP導入のためのガイドライン(7原則12手順)の原則3手順8に示されている。

 CCP重要管理点の確認値で、それ以上になると製品の安全性が確保できなくなる値(これをパラメーターという)の基準をCLといいます。
CLが誤って設定されたり、適切に測定されない場合は危害が発生する恐れが発生します。

 CLのパラメーターは現場の経験的な判断やカンに加えて、危害の発生を防止するための科学的根拠に基づいた、速やかなモニタリングが可能で、逸脱が起きた場合に直ちに改善措置が取れるような、誰にもわかるかたちでの具体的な値を設定する必要があるります→生産現場の人間でひとりとして理解出来ていない人がいてはなりません。
例えば迅速なモニタリングが可能な温度、時間、pH、水分、塩分、官能検査指標などが計測機器のメーターに現れる誰が見てもすぐにわかる値が用いられます。 

 実際の製造工程では、特に大企業では、CLよりも厳しい基準(工程管理基準:Operating Limit)を設定しておくこともあります。

 なお、国際標準化機構(ISO)においては、「食品安全性マネジメントシステム-要求事項」として、HACCPを基本にした国際規格の作成を2001年から検討され、2004年1月時点では、DIS(Draft International Standard:国際規格原案)案作成の専門家会合が開かれ、概ねDISの意見調整が終了した段階にあり、2004年には、HACCP導入のガイドラインにマネジメントの要素を取り入れた食品の安全管理システムであり、経営者の責任や権限、内部監査等が要求事項としてけっていされた。
 なおこのシステムは食品製造者だけではなく、包装材料提供者やサービス提供者等にも適用できる。

参照

1)HACCPの現状とQ and A 編集小久保弥太郎 発行2003 (社)食品衛生協会 pp 86〜88
2)食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp 90〜92