パン生地の熟成について

1、ミキシングしてすぐにパンを焼いても硬いだけでおいしくない。

2、所定の時間一定温度で放置し、醗酵させ、分割、丸め、中間ホイロ、成型、ホイロ、を行い、十分な熟成をへてはじめておいしくなる。

 

窯落ちについての考察

1、すだちの細かい内相を持ったまま膨張してゆくためにはグルテン膜の進展性がよいこととSS結合を維持する拮抗力が必要である。拮抗力を強化するためには酵素添加等の方法がある。

 

パン生地の熟成の添加剤による促成の考察

1、酸化剤による改良、

イ、臭素酸塩(プロメート)⇒遅効性でゆっくりと作用する。

ロ、ヨウ素酸塩(アイオデート)⇒即効性で醗酵時間の短い生地にむく。

ハ、Lアスコルビン酸(ビタミンC)⇒本来還元剤として使われているが、パン生地中では直ちに酸化されて、デヒドロアスコルビン酸となり、酸化剤の働きをする。

二、アゾジカルボンアミド⇒水と合うと2分子の尿素になり酸化剤としてはたらく。

ホ、リポキシナーゼ⇒酸化酵素であり、生地改良効果は高い。

へ、システインはパン生地軟化に効果が高い。(生地伸びがよい)

 

酸化剤添加による物性への考察

1、SH基を酸化してSS結合をつくっている

 

酸化酵素プロテアーゼによる物性への影響

1、パン生地の熟成とは、軟化によって向上する進展性とグルテンの形成による抗張力の増加による+−の力のバランスによる。

2、進展性があまり進むと生地だれがおこるが、東洋グルゲン製のプロテアーゼは耐熱性がなく、窯で焼くと死活するので都合がよい。

 

界面活性剤による物性への考察

 

SSL(陰イオン界面活性剤)、EMG(非イオン界面活性剤)は、パン体積の増加に効果がある。0.5パーセントの添加によって約2割の体積増加が認められる。

1、界面活性剤の疎水性と親水性のバランス(HLB価)がグルテンに影響をあたえる。

2、グリアジニンとグルテニンの結合を界面活性剤が仲介したんぱく質同士の+の電化を消して凝固を促進させる。これによって体積が増加すると考察される。

 

生地仕上げ(メークアップ)とホイロの必要性についての考察

 

1、醗酵熟成したパン生地は、手分割(スクレーパで切る)機械分割(デバイダーによる押しつぶし切り)で分割する。

2、このままでは表面と内層とのストレスの差が大きすぎるので、丸目を行う

3、丸目によって、外側と内側のストレスを同一かつ平行層に持ってゆく。

4、丸目によって表面のストレスが残るので中間ホイロで表面の張力がゆるむのを待つ、

5、ゆるんだら、シート状に伸ばし整形をおこなう。

6、もし、この操作を行わないとグルテンの伸びが不均一となり、なおかつイーストも新しい生地と触れ合わないのでガス発生も不均一となり、いびつな形の悪いパンとなる。

7、整形したパン生地をホイロに入れ80パーセント膨張させ、後、窯でやきあげて残り20パーセント膨張させる。