12,製菓材料の機能
{12}製菓材料の機能
製菓材料は大きく大別すると、できあがりの菓子を固くするものと、柔らかくするもの、風味をあたえるもの、にわけられる。
イ、固くするもの
菓子を固くするものをタフナーといい、1,小麦粉、2、卵白、3、牛乳(固形分)4,ココアなどである。
1,小麦粉 小麦粉は骨格となるグルテンの周りをでんぷんが取り囲んでいる構造を示し、これが引き締まって固くなる。
2,卵白 卵白中のタンパク質が熱変性を受けて固くなっている。
3,牛乳 牛乳固形分には、タンパク質に加えてカルシウムなどの無機質が含まれている。この部分が熱変性を受けて固くなっている。
4,ココア ココアとはカカオの胚乳からココアバターを取り除いたものをいう。その成分はタンパク質、でんぷん、無機質、繊維質からなる。これらの成分は熱変性をうけて複合体をつくり製品を固くする。
ロ、やわらかくするもの
菓子をやわらかくするものをソフトナーといい、1,砂糖、2,油脂、3,卵黄中の脂肪、4,チョコレート、5,膨張剤、6,ピーナッツ(特上のものだけ)7,生乳、8,乳化剤、などである。
1,砂糖 熱変性によって、カルメラ化しその結果カルメラ状の柱が出来て柔らかくなる。
2,油脂 油脂は、小麦粉中のグルテンの中に細かく入り込んでその柱を細くし、菓子の食感を柔らかくする。
3,卵黄中の脂肪 卵黄中の脂肪は卵黄油といって、独特の浸透力をもっている。そのため、グルテンのでんぷんの間、グルテン同士の粘着性をよわめ、さらに熱変性を受けてその浸透力が卵黄タンパクが固まると同時に飛躍的に高まるので、菓子が柔らかくなる。
4,チョコレート チョコレートは、その成分の50パーセントが砂糖、30パーセントがココアバター、のこりが繊維その他となっていて、1,砂糖の夜話楽する効果2,ココアバターの浸透力、3,ココアバターの体温での溶解力があいまって、相乗的に夜話楽する効果がある。
ハ、風味を付けるもの
風味付けするものとしては、1,砂糖 2,卵黄 3,牛乳 4,洋酒 5,香料 6,胡椒
7,塩 8,味の素 、9,昆布エキス 10鰹エキス 11醤油 12ヨーグルト、13,マヨネーズ 14,肉桂
ニ、菓子の材料の配合比率のついて
一応の原則が有って、スポンジケーキの場合、通称3同割りといって、小麦粉、砂糖、卵を同量ずつ入れる。これに油脂等が同量ないし少なめに入る。
基本的に菓子は、1,口溶けのよいこと、2,柔らかいこと、3,のどごしのよいこと、4,後味のよいこと、 以上4っつの項目をクリアーすることが目標とされる。
そのため、 お菓子の形が保たれるぎりぎりまで、グルテン量を減らす、つまり小麦粉の比率が相対的に落ちるようにすることが考えられる。
その為には練りかた、合わせ方等の工夫がひつようである。
ホ、低カロリーを目指したクリーム用乳化剤の考察
クリーム用乳化考察
1、代表的なものに、ポリグリセドエステルとレシチンを併用したものがある。
通常サワークリーム等の酸性の特性を持つクリームはそのPHが3ないし4.5になるので、タンパク質が植物の酸に犯されていわゆる酸変性が起きるので乳化が不安定になってその気泡が不安定なってはじけて崩れやすい、
そこで、ポリグリセドエステルを0.5%から4%程度添加すると安定する。
また、乳化剤だけに頼るのではなくて、卵黄を1%添加したり、脱脂粉乳(カゼインが欲しい)を2%添加する方法もある。
2,低脂肪低カロリーを目指して・・・・
低カロリー化の為に低脂肪化という高齢化社会の要請もあり、ここ数十年二重乳化の研究がすすんでいる。
二重乳化いわゆるW/O/Wとするには、ひとまずO/W(水の周りに油を付ける)乳化を作り、これにさらに水を加えて高速の周速をもって転相してW/O/Wとする方法と、W/O(油の周りに水をくっつける)W/O/W乳化にする方法とがある。
基本的には親油性乳化剤を油脂に加えたものに親水性乳化剤を水相に加えたものを投入して反応させる。このとき、全く逆の性質をもつ乳化剤をまぜあわすので、それぞれ強い極端な力をもつ親油性親水性の両乳化剤を用い親水性乳化剤に対して量的に過剰な量の親油性乳化剤を投入する必用がある。
クリーム状の層性は脂肪球の中に水を入れることであるが、球中の油の量と等量までは容易に球中に加水して混ぜ合わせることができる。
特に内相のW/O油滴の量を多く作ることができれば、W/O/Wの二重乳化の生成率が高くなる。
こうして作られたクリームは通常47から50%の油脂を持つクリームに対して30%くらいの油脂で同じクリーム特性を持たせることができる。
この二重乳化の特性をもつ乳化剤は一例をあげると太陽化学の818Hである。